チャズ・ラプソディー
チャズ・ラプソディー
 
8月26日(木)/3日目
 
 チャズというのは、中国語で運転手のこと。自動車、三輪車、三輪バイクなどのそれをいいます。
 
 2日目にタクシーに乗ったとき、会話の練習のために、運ちゃんと話した。そこで昨日のぼったくりを話すと、しきりに憤慨し、同情してくれた。さらに、降りるときには、少し運賃をまけてくれた。この人のおかげで、旅を続ける勇気が沸いた。やっぱり、みんなが悪人ということはないのだ。
 
 しかし。
 3日目になり、列車で紹興についてから、三輪車で王羲之の博物館に行ったのだが、この三輪車の運転手が悪党だった。自分の中国語が未熟なのを知って、下車の際、オレが言ったのは五〇元だったぜぇ、とか言うのだ。
 正直にいうが、かなりもめたあと、結局は四五元も払わされてしまった。まだまだ青かった。やはり三輪車とオヤジをぶっ壊しておくべきだった。
 
 しかし。
 王羲之博物館を見終えた後、駅へ帰ろうとするが、バス停が見あたらない。博物館にはタクシーが待機しているが、にやついた顔で「乗れよ〜」とかいうので全く信用できない。
 仕方なく歩き出したが、駅はかなり遠い。
 ふとみると、向こうから三輪バイクがドドドとやって来る。この人を止めて、駅に行きたいんだが、と言ってみた。すると、
「オレは、別に人を乗せてるんじゃないんだ。ほら、野菜が入ってるだろ? …でもいいや、乗りなよ」
 とういわけで、多少お金を払ったものの、ヒッチハイクのような感じで駅へ向かった。ガンガン飛ばしたので気持ちよかった。
 途中で、この人の知り合いの人の二輪バイクに乗り換え、そして無事に紹興駅へと着いたのだった。
 
 このときのように、自分の道中では、善人と悪人がほぼ交互に現れることが多かった。
 
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