だい14かい ブショウのとらたいじ
 
 バシャクをころしてしまったソウコウは、しかたなく、みをかくすことにしました。
 ソウコウは、おとうとのソウセイとともに、まちをでていきました。リンチュウをかくまって、りょざんぱくにあんないした、あのサイシンのところにみをよせたのです。
 
 ソウコウが、サイシンのところについたひのよるのこと、ソウコウは、ひとりのおとことしりあいました。
 そのおとこは、ブショウというなで、からだのおおきい、とてもつよそうなおとこでした。このブショウも、サイシンのところでせわになっていたのです。
 ブショウは、ソウコウがりっぱなおとこであることをしっていましたから、であえたことを、たいへんよろこびました。
 
 ソウコウのことはどうでもよいとして、さて、ここからは、ブショウのおはなしになります。
 
 ソウコウとわかれ、サイシンのやしきからでたブショウは、こきょうのまちへむけてたびにでました。
 やがて、こきょうまでもうすぐというところまでやってきました。ブショウは、さかやでたくさんおさけをのんで、しゅっぱつしようとしました。
 すると、さかやのしゅじんが、ブショウをよびとめました。
「おい、あんた、ひとりでおかをこえちゃいかん。とらがでるんだぞ」
 ブショウは、わらっていいました。
「うそをつくな。おれは、このおかをしってるが、とらなんかいないぞ」
「ほんとうにでるんだよ。あぶないから、いくんじゃない」
 さかやのしゅじんは、しきりにとめましたが、ブショウはとうとうおかをのぼっていってしまいました。
 さて、ブショウがおかをすすむと、はたして、ひたいのしろいおおきなとらが、ブショウのめのまえにあらわれました。
 ブショウは、あっとおどろきましたが、とらは、すばやくブショウにおそいかかってきました。
 しかし、ブショウはごうけつのおとこです。とらのするどいつめを、ひらりとかわし、おおきなこぶしをふりあげて、おもいきりとらをなぐりつけました。
 とらは、ブショウのちからにおさえつけられ、みうごきができません。ブショウは、さらにとらをなぐりつづけ、とうとう、とらをなぐりころしてしまいました。
「はあっ、はあっ。どうだ、おれのちからを、おもいしったか」
 
 こうして、ブショウは、すででとらをなぐりころしたごうけつとして、またたくまに、ひとびとにしられたのです。
 
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