だい16かい たとえなんにんころそうが
 
 さて、ようやくもうしゅうについたブショウは、ろうごくにいれられました。
 
 しかし、ろうごくにやってきた、シオンというひとが、ブショウにたいしてとてもしんせつにしてくれました。まいにち、ごちそうやおさけをとどけてくれるのです。
 
 ふしぎにおもったブショウは、シオンにききました。
「どうして、つみびとのわたしに、しんせつにしてくれるのです」
 すると、シオンはためいきをついていいました。
「じつは、あなたのちからを、おかりしたいのです。わたしは、このあたりのまちをしきっていたのですが、さいきん、ショウモンシンというらんぼうものに、まちをうばわれてしまったのです。だから、あなたにゆっくりやすんでもらってから、ショウモンシンをやっつけてもらいたいのです」
 ブショウは、それをきいて、
「わかりました。なぁに、やすむことなんてない。いまからいって、そのショウモンシンとやらを、こらしめてやりましょう」
 
 そして、ブショウは、かんたんにショウモンシンをやっつけて、まちをシオンにかえしてあげました。
 
 ところが、このショウモンシンは、しぶといおとこでした。
 ショウモンシンは、じぶんのなかまのちからをかりて、ブショウをえらいひとにつかえさせ、ふじゆうのないくらしをさせました。
 
 しかし、これがわなでした。
 あるひ、そのやしきで、どろぼうがはいったというさわぎがおきました。
 ブショウは、やしきのひとにおんがえしをしようと、どろぼうをさがそうとしました。
 しかし、やしきのものたちが、ブショウをつかまえてこういったのです。
「どろぼうは、こいつです。せわになっておきながら、なんともひどいやつです」
 ブショウは、ひっしになっていいました。
「ちがう、おれはどろぼうじゃない。なにもぬすんでいないぞ」
 しかし、ブショウのへやから、ぬすまれたしなものがみつかった、というのです。
 とうとうブショウは、ふたたびつみびととなって、つれていかれてしまいました。
 
 しかし、つれていかれるとちゅうで、それがショウモンシンたちのかんがえたわなであることをしり、さらに、ブショウをひっぱっているおとこたちが、ブショウをころすようめいれいされているのもしり、もうがまんができなくなりました。
 
 ブショウは、まず、そのおとこたちをやっつけ、すぐにショウモンシンたちのところへかけつけました。
 そして、ブショウをやっつけたとおもって、えんかいをしていたショウモンシンたちのところに、いきなりあらわれました。
「あっ、ブショウ! どうしてここに!?」
 おどろくショウモンシンたちを、ブショウはつぎつぎときりころしました。
 しかし、えんかいじょうのひとたちが、ブショウにきづいてしまいました。
「しかたない。たとえ、なんにんころそうが、つぐなういのちはひとつきりだ」
 ブショウは、かくごをきめて、えんかいじょうのひとたちも、のこらずころしてしまいました。
 
 ここまでつみをおかしてしまったからには、もう、さんぞくになるしかないとおもったブショウは、あのロチシンとヨウシがいる、にりゅうざんにいくために、ぎょうじゃのすがたにみをかくして、あるきだしました。
 
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