だい3かい リンチュウのとうぼう
 
 みやこにあるおてらにやってきたロチシンは、あるひ、ぶじゅつのれんしゅうをしていました。
 すると、そのすがたをみて、あるひとがこえをかけました。
「ううむ、みごとなものだ。」
 そのひとはリンチュウといい、みやこにつかえるやくにんで、ぶじゅつをおしえるしごとをしていました。
 
 いきとうごうしたふたりがはなしをしていると、リンチュウのつまがなにものかにさらわれた、というしらせがはいってきました。リンチュウはあわててかけだしていきました。
 
 さいわいこのひはぶじにすみましたが、このじけんは、リンチュウのつまがうつくしいのをしって、なんとかじぶんのものにしようとしたおとこのしわざでした。
 そして、そのおとこは、あのコウキュウのぎりのむすこだったのです。
 
 コウキュウは、なんとかむすこのねがいをかなえてやろうとおもい、リンチュウをわなにかけてしまいました。
 
 むじつのつみをきせられたリンチュウは、とおいところへついほうされてしまったのです。ずっとあとのはなしですが、リンチュウのつまは、かなしみのあまりしんでしまいました。
 
 リンチュウは、くやしいおもいをがまんして、ろうごくではたらいていました。
 しかし、コウキュウはあんしんできず、ぶかにめいれいしてリンチュウをころそうとしたのです。
 
 ねらわれているのにきづいたリンチュウは、もうがまんができなくなりました。
 リンチュウは、コウキュウのぶかをやりでさしころしました。
 
「ああ、これでわたしもほんとうにおたずねものになってしまった。はやくにげなくては。」
 
 そういうと、リンチュウはゆきのはげしくふるなかを、ひたすらはしっていきました。
 
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