だい32かい かたきうちのたたかい
 
 りょうざんぱくは、いよいよ、そうとうしのソウいちぞくと、たたかいをはじめました。
 
 ソウいちぞくも、さすがにチョウガイをたおしただけあって、てごわいあいてでした。 しかし、だんだんと、りょうざんぱくのいきおいにおされ、ソウいちぞくは、おいつめられてきました。
 ソウいちぞくのソウチョウカンは、このままたたかえば、ぜんめつしてしまうとおもい、りょうざんぱくに、あやまろうとして、てがみをかきました。
 
 このてがみをみたソウコウは、いまさらあやまってもおそい、と、おこりましたが、ゴヨウが、
「いえ、ここは、なかなおりをしましょう。もちろん、ほんとうにするのではなく、さくせんです」
 といいました。
 そして、ソウいちぞくのなかまである、イクホウシというおとこに来てもらい、かれにこういいました。
「おまえがいうことをきいてくれたら、りょうざんぱくのなかまにいれてあげよう。どうせ、ソウいちぞくは、われわれにはかなわないんだ」
 イクホウシは、りょうざんぱくにはいりたいといいました。そこでゴヨウは、イクホウシにさくせんをおしえて、また、ソウいちぞくのもとへ、もどらせました。
 
 イクホウシは、ソウいちぞくに、こういいました。
「りょうざんぱくのやつらは、ほんとうは、なかなおりする気など、ありません。いま、こちらに、えんぐんがむかってきています。りょうざんぱくをやっつけるなら、いまです」
 これをきいて、ソウいちぞくは、その日のよる、りょうざんぱくぐんを、おそうことにしました。
 
 ところが、これはゴヨウのさくせんでしたから、すでにあちこちに、りょうざんぱくぐんが、かくれていたのです。
 ソウいちぞくのぐんぜいは、さんざんにやられてしまいました。
 あのチョウガイをたおしたシブンキョウも、しかたなく、うまにのってにげだしました。
 しかし、そのシブンキョウのまえに、ロシュンギがあらわれ、やっつけてしまいました。
 そして、りょうざんぱくぐんは、ソウいちぞくのやしきにのりこんで、ざいほうやしょくりょうをうばい、おおよろこびでかえっていきました。
 
 たたかいは、大しょうりでしたが、もんだいがのこりました。
 チョウガイが、シブンキョウをやっつけたものを、りょうざんぱくのあるじにしてくれ、といっていたからです。
 みんなは、チョウガイのゆいごんはおいといて、ソウコウにあるじになってほしいと、おもっていたのです。しかし、ソウコウは、シブンキョウをやっつけた、ロシュンギをあるじにしようといって、ききません。

 ロシュンギも、じぶんがあるじになるなどできないと、ことわりつづけます。じっさいには、リキやロチシンたちが、
「ソウコウあにきに、あるじになってほしいんだ。ほかのやつなんかだめだ!」
 とおこっていたので、”ほかのやつ”であるロシュンギとしては、
「では、わたしがあるじをやりましょう」
 などといえるフンイキでは、なかったのです。
 
 どうしても、いけんがあわないので、ソウコウがいいました。
「では、こうしましょう。わたしと、ロシュンギどのが、しょうぶをするのです。ふたりがそれぞれ、ぐんぜいをひきいて、町をおそい、しょくりょうをぶんどりましょう。早くぶんどってきたほうが、りょうざんぱくのあるじになるのです」
 
 こうして、あるじをきめるために、なんのかんけいもない町を、おそうことがきまりました。しかも、二つの町をです。
 
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