だい15かい じゅうじは
ブショウは、とらをたいじしたことでたたえられ、とくべつにとりたてられて、やくにんになることになりました。
あるひ、ブショウがまちへでると、ばったりと、ブショウのあに・ブダイとであいました。
ふたりはさいかいをよろこび、やがて、ブショウはブダイのいえにすむことになりました。
ブダイには、キンレンというおくさんがいましたが、このひとは、きれいなすがたににあわず、まがったこころのもちぬしでした。くすりやのおおがねもち・セイモンケイとうわきをかさねたあげく、ブショウがるすのすきに、おっとであるブダイを、どくをのませてころしてしまったのです。
いえにもどってきたブショウは、あにのしをかなしみながら、どこかおかしいぞ、とかんじていました。そこで、まちのひとからじじょうをききだし、あにをころしたのが、キンレンとセイモンケイだということをしりました。
「にいさん、おれは、あんたのうらみをはらしてやるよ」
ブショウは、ひとびとのみているまえで、キンレンをざくりときりころし、つづけて、まちへでてセイモンケイをさがしだし、こちらもあっというまにころしてしまいました。
かたきうちはできましたが、ブショウがひとをころしたことに、かわりはありません。ブショウは、じぶんからやくしょにいき、つみをこいました。
やくにんたちも、ブショウがゆうかんでりっぱなおとこであることをしっていたので、つみはかるくされ、もうしゅうというとちに、ながされることになりました。
さて、ごそうのやくにんとともに、ブショウはもうしゅうへとたびをつづけました。
あるひ、じゅうじはというところにさしかかると、そこにいっけんのさかばがありました。
ブショウたちは、そこにはいって、にくまんじゅうやおさけをたのみました。しかし、ブショウは、そのにくまんじゅうをみて、おもいました。
「このにくは、にんげんのにくみたいだぞ。このさかば、ふつうのさかばじゃないな」
すると、ブショウといっしょにのんでいたやくにんが、ばったりとたおれてしまいました。
「そうか、しびれぐすりだな」
すぐにきづいたブショウは、じぶんもたおれたふりをしました。
ブショウたちがたおれたのをみると、さかばのおかみが、てをたたいていいました。
「いいえものが、てにはいったよ。こいつはからだがでかいから、さぞかしうまそうなにくがとれるねぇ」
そういって、おかみがブショウをかかえあげると、ブショウはがしりとおかみをつかまえて、ぐいっとおさえつけました。おかみが、さけびました。
「い、いたい! かんべんしてくださいな!」
すると、それをみていたひとりのおとこが、ブショウにいいました。
「だんな、もうしわけありません。そいつは、わたしのつまなのです。はなしてやってくれませんか」
ブショウは、おかみをはなしました。そして、ふたりのはなしをきいてみると、このふうふは、おもてむきはふつうのさかばで、じつはたびびとをねらってはころし、そのにくをうってしょうばいをしている、チョウセイ・ソンジジョウというなのふうふであるということをしりました。
ブショウは、しかし、かれらはけっしてよわいものはねらわない、ということをしり、かれらとなかよくなりました。
そして、ふたたびもうしゅうをめざして、やくにんたちとともに、たびをつづけました。