だい9かい ざいほうをうばえ・その3
ぶかは、ヨウシにききました。
「だんな、おれたちは、のどがからからだ。あのおさけをみんなでかって、のんでもいいだろう?」
でも、ヨウシはそれをゆるしません。
「ばかをいうな。きっとあれは、どくがはいっているぞ」
しかし、おさけをのんだおとこたちをみていても、どくにやられたようすはありません。
ぶかが、またのみたがってたのむので、ヨウシもやっとゆるしました。
さけうりのおことにおかねをはらい、ぶかたちは、がぶがぶとおさけをのみました。
ヨウシは、まだけいかいしていましたが、あまりにあついので、すこしだけおさけをのみました。
しかし、ふとみると、こかげのおとこたちがニヤニヤわらいながら、ヨウシたちをみています。
「はっはっはっ! ひっかかったな!」
おとこたちがそういうのとどうじに、ヨウシのぶかたちが、ばたばたとたおれだしました。
「しまった! やはり、しびれぐすりだ!」
ヨウシは、にもつをまもろうとしましたが、やはりからだがうごかなくなってしまいました。
おとこたちは、あっというまにヨウシたちのにもつをもって、にげていってしまいました。ヨウシは、めのまえでざいほうがぬすまれていくのを、ただみていることしかできませんでした。
さて、ざいほうをうばったおとこたちとは、やはりあのチョウガイたちだったのです。
あたまのよいゴヨウというひとが、どくいりのおさけをつかうさくせんをたてました。
はじめに、じぶんたちでおさけをのんで、ヨウシたちをあんしんさせ、きづかれないようにどくをまぜてから、ヨウシたちにのませたのです。
しばらくして、ヨウシたちはうごけるようになりました。しかし、ざいほうをとられてしまっては、どうしようもありません。
ヨウシはおこって、ぶかたちにいいました。
「それみろ! おれのいうことをきかないから、わなにかかってしまったじゃないか。おれはもうしらないぞ。あとはかってにしろ!」
そういって、ヨウシはどこへともなくさってしまいました。