だい17かい せいふうさいでのさいなん
 
 ブショウはたびをつづけ、やがてびゃっこざんというところにやってきました。するとそこには、サイシンのもとをはなれていた、ソウコウがいたのです。
 ふたりはさいかいをよろこんだのち、ブショウは、にりゅうざんに、ソウコウは、せいふうさいというところに、それぞれわかれていきました。
 
 せいふうさいには、カエイという、ゆみのめいじんがいました。このひとは、いぜんからソウコウにてがみをおくっていたので、ソウコウも、かれのもとにみをよせることにしたのです。
 
 ところが、ひとりであるくソウコウのまえに、いきなりさんぞくがあらわれました。ソウコウはなすすべもなく、さんぞくのとりでにつれていかれてしまいました。
 
 さんぞくのとうりょう・エンジュンは、ソウコウをころして、いきぎもをたべようとしました。そして、いざ、ソウコウにかたながせまったとき、ソウコウはさけびました。
「ああ、このソウコウも、これでおしまいか!」
 ところが、このひとことは、インパクトじゅうぶんでした。エンジュンたちは、かれがぎきょうでゆうめいなソウコウとしって、なわをほどき、したにもおかぬもてなしをしました。ソウコウのあくうんも、なかなかのものです。
 
 ところでこのとき、エンジュンのぶかのオウエイというおとこが、ひとりのおんなをさらってきて、むりやりおよめさんにしようとしていました。ソウコウがきいてみると、そのひとは、せいふうさいのちじ・リュウコウのおくさんだというのです。ソウコウは、おもいました。
「せいふうさいのちじといったら、これからわたしがたずねるカエイの、じょうしにあたるひとだ。カエイのためにも、あのひとをたすけてやろう」
 そういうわけで、ソウコウはオウエイをせっとくし、そのひとをにがしてあげました。
 
 ところが、このことが、ソウコウのふこうをまねいたのです。
 
 エンジュンたちとわかれ、カエイのところにいったソウコウは、カエイにもてなされ、たのしくすごしていました。
 そしてあるひ、ソウコウは、おまつりをみにでかけました。
 
 そのとき、ちじのリュウコウも、つまといっしょに、おまつりをみにきていたのです。
 ソウコウのすがたをみた、リュウコウのつまは、さけんでいいました。
「あっ! あのおとこは、このあいだわたしをさらった、さんぞくのなかまざます!」
 なんと、このおんなは、ソウコウにたすけられたおんもわすれ、ソウコウをつかまえさせました。このときはうんわるく、カエイもいなかったので、ソウコウはあっさりとつかまってしまいました。
 もともと、このリュウコウふうふは、たみをいじめ、わいろをあつめるといった、あくどいやつらでした。リュウコウは、ソウコウをごうもんにかけ、さんぞくときめつけ、じぶんのてがらにするつもりだったのです。
 
 しかし、じけんをきいてかけつけたカエイが、ソウコウをとりもどしにやってきました。
「リュウコウ、すきかっても、いいかげんにするがいい。このカエイをなめるなよ!」
 リュウコウもぶかたちも、カエイがゆみのめいじんであるということを、よくしっています。かれらは、ソウコウをほっぽりだして、あわててにげていきました。
 
 このままリュウコウがだまってはいないとおもったソウコウは、カエイのもとをはなれ、ひとまずエンジュンたちのところへにげることにしました。しかし、さきをよんでいたリュウコウは、またもソウコウをつかまえてしまいました。
 リュウコウは、さらにカエイもつかまえて、せいふうさいをじぶんのものにしようとかんがえました。
 そこで、コウシンというぶしょうをつかって、カエイをさそいだし、おさけをすすめるふりをして、ゆだんしていたカエイをつかまえてしまったのです。
 
 そしてとうとう、ソウコウとカエイは、さんぞくのなかまということにされて、くるまのついたおりにいれられ、そのままつれていかれてしまいました。
 
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