だい12かい りょうざんぱくのあるじ
りょうざんぱくへとにげてきたチョウガイたちは、たいしょうのオウリンに、じぶんたちをなかまにしてほしい、とたのみました。
オウリンは、かおではにこにこしながら、こうかんがえていました。
(チョウガイといえば、だれでもしっているごうけつだ。それに、なかまもすごいやつばかりだ。なんとかおいかえさなければ、きっと、たいしょうのざを、とられてしまうぞ)
オウリンは、あまりしんぽしていませんでした。
チョウガイたちは、へやでやすみながら、そうだんしました。
「オウリンは、おれたちをおいだすつもりのようだ。いったいどうしたらいいんだ?」
するとゴヨウが、ニヤリとわらっていいました。
「だいじょうぶです。きっとうまくいきますよ」
つぎのひのあさ、チョウガイたちのへやを、だれかがたずねてきました。それは、あのリンチュウでした。かれは、こういいました。
「せっかく、あなたがたのようなごうけつがきてくださったのに、オウリンは、なかまにしたくはないようです。というのも、オウリンは、このりょうざんぱくをのっとられてしまう、とおそれているからです」
チョウガイは、リンチュウにいいました。
「わたしたちは、ただここにいたいだけなんだ。のっとるつもりなんか、ありませんぞ」
リンチュウは、うなずいていいました。
「あいつは、わたしがここへきたときも、さんざんごねて、おいだそうとしました。もしも、ほんとうにあなたがたをおいだすようなら、わたしにもかんがえがあります。まかせてください」
そういって、リンチュウはもどっていきました。ゴヨウは、このリンチュウのきもちに、はやくからきづいていたのです。
ひるになり、チョウガイたちは、えんかいによばれました。
みんなでえんかいをつづけるうちに、オウリンが、たくさんのざいほうをおぼんにのせ、チョウガイのまえにさしだしました。そして、こういったのです。
「みなさん、ここはちいさいみずたまりのとちです。みなさんのような、りっぱなかたがたに、いてもらえるところではありません。このざいほうをおもちになって、どこかおおきなばしょへ、うつられてはいかがでしょうか」
やはり、リンチュウのいったとおりになりました。オウリンは、どうでもチョウガイたちをおいだすつもりです。がまんができなくなったリンチュウは、いすをけとばしてたちあがりました。
「やい、オウリン。おまえのようなせこいやつに、さんぞくのたいしょうがつとまるか。もうゆるさんぞ!」
リンチュウは、これまでのいろいろないかりをこめて、オウリンかたなでさしころしてしまいました。さらに、くびまできりおとすという、ねんのいりようです。
このあと、リンチュウは、あたらしいりょうざんぱくのあるじとして、チョウガイをすいせんしました。みんなはこれにしたがい、オウリンのぶかだったトセンたちも、チョウガイのぶかになりました。
そしてこれから、りょうざんぱくは、ほんとうのえいゆうたちが、あつまるばしょとなっていくのです。