だい21かい めがみさまのおつげ (「天機星」の森石秀さんが執筆してくださったものを、アジナーが加筆・変更しました)
さて、とちゅうでオウホウ、ショウケイ、バリン、トウソウオウとなかまもふやしたソウコウたちは、ぶじりょうざんぱくにたどりつきました。
しばらくは、みんなでおもしろおかしくくらしていましたが、ある日、ソウコウがとんでもないことをいいだしました。
「こきょうにのこしてある父を、むかえにいってきます」
ソウコウが、おとうさんおもいなことはみんなしっています。しかしいまは、くににおわれるみなのです。もちろん、みんなはとめました。
しかしソウコウは、はんたいをおしきって、とうとう一人ででかけてしまいました。
こうしてソウコウは、こきょうのむらにかえってきました。いえには、おとうとのソウセイがいました。
「にいさん、どうしてかえってきたのですか」
「おまえとおとうさんを、むかえにきたのだ」
「にいさんがこうしゅうでじけんをおこしたことはしっています。だからへいたいがあちこちにいて、わたしたちもみうごきができません。りょうざんぱくからへいたいをつれてきてわたしたちをたすけるようにたのんでください」
けっきょく、みんなのいったとおりになってしまいました。
はんせいした(だろう)ソウコウは、おうえんをたのみにりょうざんぱくにひきかえしましたが、そのとちゅうで、へいたいにみつかってしまいました。やはりソウコウは、みんながいないとダメダメなようです。
ソウコウはにげました。しかし、あるむらにはいったところで、にげみちがなくなってしまいました。しかたなく、ソウコウは、そのむらにあった、やしろのなかにかくれました。
ところが、へいたいたちも、このやしろにきがつきました。
「このやしろのなかにいるみたいだぞ」
というこえが、そとからきこえます。そのうちに、へいたいがはいってきました。いよいよあぶないとおもったソウコウは、とだなのなかにかくれましたが、へいたいのひとりが、とだなをあけようとしました。そのとき、あやしいくもがわきあがり、つめたいかぜがふきました。
「にげろ。かみさまのたたりだ」
こわくなったへいたいたちは、にげていってしまいました。かんいっぱつでみつからなかったソウコウが、あんしんしたのもつかのま、やしろのおくから、だれかがでてくるけはいがします。そのだれかは、とだなのなかのソウコウにいいました。
「せいしゅさま(ほしのかみさまでいちばんえらい人)、めがみさまが、およびです」
ソウコウはびっくりしていいました。
「わたしは、ソウコウというものです。せいしゅとかいうものでは、ありません」
「いいえ、あなたはせいしゅさまです。めがみさまが、およびです」
かさねていわれたソウコウは、とだなからでて、めがみさまにあいにいくことにしました。
ソウコウがやしろからでて、めがみさまのししゃのいうとおり、みちをすすんでいくと、りっぱなきゅうでんがみえてきました。そしてそのなかに、きれいなきものをきた、めがみさまがいました。
めがみさまのししゃが、おさけとなつめをだして、かんげいしてくれました。
それからめがみさまは、ソウコウに、三かんのまきものをみせました。
「じつは、あなたとあなたのなかまたちは、もとはてんのきゅうでんにすんでいたのです。でも、わるいことをしてしまったので、いまはこのげかいにおろされて、にんげんになっているのです。
このまきものを、あなたにさずけます。これをつかって、よいおこないをしなさい。そうすれば、きっといつか、てんのきゅうでんに、もどることもできるでしょう」
めがみさまは、おんきせがましくいいました。
ソウコウは、なにがなんだかわからないのですが、とりあえず、まきものをうけとり、めがみさまにおれいをいいました。
それからソウコウは、きゅうでんをでました。ところが、そのそばのかわにかかっていたはしのところで、ししゃは、とつぜんソウコウをかわにつきおとしました。「あっ」とソウコウはさけびましたが、きがついてみると、さっきのやしろのとだなのなかです。
いまのことはゆめだったのでしょうか。しかし、ソウコウはちゃんとまきものをもっていました。
「ふしぎなことだ」
とおもいながらソウコウがそとにでてみると、そのやしろは、なんとキュウテンゲンジョさまという、どえらいめがみさまをまつったやしろでした。ゆめにでてきた、ちょっとキツいめがみさまは、キュウテンゲンジョさまだったのです。
そこへ、へいたいたちがやってきました。しかし、なぜかみんなあわてています。よくみると、リキはじめ、りょうざんぱくのなかまたちがあばれているではありませんか。
じつは、ソウコウをしんぱいしたチョウガイとゴヨウが、こっそりタイソウにあとをおわせていたのです。そのうえ、おおぜいのなかまたちをつれてむかえにきてくれました。ソウコウのおとうさんとソウセイももうりょうざんぱくにつれていったといいます。ソウコウはおおよろこびしました。
それからみんなでりょうざんぱくにかえり、またたのしくあそんでくらしました。