https://kakuyomu.jp/works/1177354054884121209/episodes/1177354054886252155
飛墨顕字象は、なぜ王萍鶴の技となったのか。彼女が記憶をなくした理由は? この回で、すべてが判明します。
中国の武侠作品で、絶技と秘伝書というのは定番のアイテムですが、こちらはその二つが合わさった、まさしく秘伝”書”。
この技、特にヒントになったものはなくて、今から二十五年以上も前、家でゴロゴロしていたときにふっと思いついただけでした。しかしその頃はまだ伏魔伝の構想もなく、作品に活かせるとは思っていませんでした。忘れずにいた自分に感謝したい気持ちです。
北京の故宮博物館に行ったとき、お土産で印鑑を彫ってもらったのですが、そのときに「筆も買うから、柄の所に文字を彫ってもらうことできる?」って聞いたら、「いいよーサービスするよー」って言ってくれたので、良さげな筆に「輝影」と彫ってもらいました。作中で描写した輝影の色や材料は、それを元にしています。
輝影の能力具現化について、最初は、あらかじめそれが当時の張天師によって予言されており…という設定でしたが、急遽変更して、地文星の個人の意志で、という設定にしました。
執筆を進めていく中で、この作品では、予言めいた要素は極力排斥しようと考えたからです。
安史の乱は大きな事件であったため、後世で尾ひれが付けられ、「何々の事件は、実は乱の前兆であったのだ」という類の伝承が数多く生まれました。隋唐演義などを読むと、随所にそれが現れます。
しかし伏魔伝でそれをやると、主人公たちを運命論で動かさなくてはならないので、それは書いてもあまり楽しくないな、と思った次第です。
予言によるチートは屁理屈で返す、というパターンもできますが、それは規模の小さい楽しみ方です。
かと言って、予言はいっさい使わないかというとそうではなく、この作品なりに使い方を工夫しました。最終話になれば、その解説がなされます。第70回での張天師親子の会話にご注目ください。