古来から、中国の皇帝の前に仙人が現れる話が残されていますが、どうもあれ、事実だったみたいです。
私もどこかのブログで読んだだけなんですが、仙人たちがやったことって、皇帝に不思議な術を見せて驚かせるのがほとんど。
ただそれは、現代で言うところの手品だったんじゃないか、という説です。
画像が残っていないから想像になりますが、仙人が術を使うとき、きちんとした舞台を使い、照明を薄暗くして、弟子(ということにしている助手)を使って仕掛けを使えば、空中浮遊や密室脱出など、いろいろできたはずじゃないかと。
それで「これは長年修行した仙術です」と言って威張ってれば、うまくすれば気に入られて、良い稼ぎになったかもしれない、というのですね。
ちょっと夢のない話になってしまいましたが、娯楽に飢えていた皇帝ならば、だまされた振りして楽しんでいた可能性もあったかと思います。タネを暴いてやろうなんて野暮なことはしなかったんでしょうね。
伏魔伝にも、玄宗にまみえたという仙人が登場します。その中でも、羅公遠は有名だったらしく、彼の単品のエピソードが残っています。安史の乱を予測して、漢方薬の当帰を渡してそれをほのめかしたと言います。(戦乱のために一度都を離れるが、また帰ってくることになるだろう、という遠回しな予言だそうです)
当時の中国の人は、こういう韜晦が大好きで、あれはこういう意味だったのか、と、すべてが終わってから気付く設定が好まれたようです。
しかし、当たり前ですが、それだと全員に伝わるわけじゃない、と思うので、伏魔伝の登場人物たちも、ほぼほぼ直球の行動をしています。
実は伏魔伝の執筆開始のころはそんな韜晦表現いっぱいで書いていましたが、話が全然進まないので止めたという経緯がありました。